更新日 2022年3月4日
頭の重さは5キロ前後ほどもあります。
デスクワークで同じ姿勢が続いたり、猫背が強かったりするとき。
身体の構造を活かした姿勢や使い方でないため、首の負担は増えていく一方です。
首は急所でありながら、身体の歪みを補正する場所でもあります。
ストレートネックを考えるとき。
頭や首は胴体・骨盤と協調して動くという理解が大切です。
7つある首の骨を頚椎(けいつい)といいます。
ほかの背骨と違うのは、脳へ血液を運ぶ血管(椎骨動脈)を通していること。
とても大切な構造をしています。
●矢印は首の骨の中を通る血管を示す
ストレートネックに限らず、首の柔軟性が失われたり歪みがひどくなった場合。
写真のなかの1番上の矢印の部分で、血管にストレスが強まります。
脳への血行不良につながり、さまざまな体調不良の原因になりかねません。
肩こり・頭痛・めまい・吐き気にくわえて、以下のことも出てきます。
背骨はまっすぐではなく、通常だと首・背中・腰の3点で緩やかに曲がっています。
このような背骨のカーブを「生理的弯曲」「S字カーブ」と呼びます。
整形外科でレントゲン撮影することで、背骨のカーブやそれぞれの骨の形状がわかります。
顔やスタイルがそれぞれ違うように、背骨にもあるのが個人差。
身体に入る衝撃を吸収して、逃がしやすくするためです。
まっすぐの状態よりも、しなりがあると構造的に強いのもメリット。
ジャンプして着地のとき・コンクリート上を走るときなど。
足裏や膝以外にも、頭に衝撃は伝わります。
脳が揺らされることでダメージを受けないためにも生理的湾曲は大切です。
S字カーブは強い人から弱い人まで個人差が大きいもの。
必要なカーブが強すぎたり、失われたりするとき。
頭痛や首・肩こりなどの症状につながることもあります。
スマホ首とも呼ばれるストレートネック。
ポイントは2つあり、2番目が重要です。
●ストレートネック
●正常なカーブのある首
【重要】
レントゲン撮影のとき「顎をひいた状態で撮る」という制約があること。
それを忘れないのが大切です。
顎をひくと首のカーブは誰でも少なくなる傾向があるからです。
くわえてこの2つはインパクトの大きいものです。
それだけにストレートネックと診断されたとき。
「だから首肩がこるんだ、痛いんだ」と考えるのは自然なことです。
ただ痛みやしびれのない人でも画像でみたら、ストレートネックということもあります。
前述したように、現在の状態をあらわすもので原因とは限らないから。
「首がまっすぐだからもうしょうがない」と思い込みすぎないことが大切です。
ヒトの能力を活かしたいとき。
仕組みとしての共通項は、頭を地面と水平にして正面を向くことです。
頭が傾いているとき。
目も傾くため情報をキャッチする力が歪み、低下します。
それを避けるために、身体はさらに歪みを強めてでも頭の水平をキープしようとします。
頭が前に移動して顎(アゴ)が上がる姿勢のこと。
PC画面をみるときによくあるケースです。
胸鎖乳突筋・肩甲挙筋・斜角筋などが縮まり、疲労します。
頭と肩の距離が短くなる(肩がすくむ)傾向が強まります。
頭と首がカメのように胴体にめりこむようになって、見た目も良くありません。
●前方頭位の首
頭を支えるときの重心線が中心から外れている。不安定な状態を安定させようと首肩の筋肉に必要以上のエネルギーが使われる。
●正常なカーブのある首
重心線が首の背骨から腰や骨盤まで通るために重さを骨で支えられる。
必要最小限のエネルギーしかかからない。
座るときに骨盤が大きく後ろに倒れた状態で長くいる。
そのことも関係していきます。
腰が丸まると、顔も下を向くのが自然な動き。
ただそのままだとまわりを見ることができません。
そのため顔が正面に向くように顎を上げる姿勢をとります。
それが前方頭位につながってきます。
骨盤前傾も強すぎる場合は、首に負担となります。
少しくらいなら大きな問題ではありません。
スマホを低い位置で持って操作するとき。
下を向く時間が増えるため、首肩への負担が増えます。
それを防ぐには、目の高さに近づけたところでスマホを使うことが大切です。
さらにスマホを持つ腕や頭、胴体などを軽く揺らしたり、動かすのも有効な方法。
同じ姿勢が続く、同じところだけを使いがちなことが負担になります。
なるべく全身を動かすようにして、負担を分散させるのが狙いです。
言うは易しですが、使用時間を減らすのはさらに有効で理想的な方法。
落とさないようにキープするため、不自然な緊張状態を強いられる身体の解放につながります。
骨盤の動きと頭はリンクしています。
骨盤や腰に柔軟性がある人とない人を比べるとき。
同じストレートネックの状態だとしても、首肩の具合が違ってきます。
池袋整体ゆっくりは、急所でもある首だけでなんとかしようと考えません。
元々のバランスを取り戻していくことを大切にしてます。
土台や柱のバランスが崩れた結果。
構造的に弱い首に歪みや不調が出ているのが現状という見方です。
頭を横に倒して斜角筋をストレッチするのは有名なもの。
鎖骨の下に指をおいて頭をいろんな方向に動かすものもあります。
これらが効果的な人もいますが、硬くなりすぎた筋肉や過敏さがある人の場合。
ストレッチすることが負担になるのでできない。
首や鎖骨を強く押されていないにも関わらず、強い痛みや不快さを感じることがあったりします。
例)
「(胸鎖乳突筋や僧帽筋をつままれると)首の筋肉がちぎれそうになる」
「(斜角筋を押されると)耳のあたりに向かってビキーン!ビキーン!て響いてくる」
「(鎖骨下を押されると)指や手の向かってビリビリビリッてしびれが出る」
それらの感覚や状態を求める施術のニーズはほとんどないでしょう。
ある程度ふつうの強さで押されたり触れられても大丈夫なようになること。
そのためには施術にも工夫が必要です。
不快感や防御反応を起こしにくい触れ方や施術部位の順番など。
首以外にも足首や骨盤・背骨・お腹・鎖骨・腕などを施術します。
ストレートネック傾向にあっても、首肩まわりに負担がかかりにくくなるお手入れをすること。
「身体を筋肉よりも骨で支える」状態に近づけていくことが目標です。
背骨の歪みや画像で示されたものは現時点での事実ですが、すべての原因ではありません。
偏ったバランスの身体で、動かなくてはいけない現状。
そこに問題があります。
ご自分の身体の使い方のクセや状態・傾向を知ること。
繰り返しになりますが、「ストレートネックだから痛みやしびれがある」と思い込みすぎないことが大切です。
【記事を書いた人】 松本健之
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